高度なエアベアリングとエンコーダを搭載した超高精度レンズ計測システム

ABTechManufacturing が、同社の超高精度エアベアリングとレニショーの SiGNUM™ 位置決め用エンコーダを活用してナノメータ/サブ 角度秒処理を行う 5 軸プラットフォームを製作。

 

CNC 光学式製造技術を手がける一流メーカーが等角光学装置の新計測システム用に超高精度の安定した位置決め技術を必要としたときに協力を求めたのが、カスタムメイドの超高精度エアベアリングとモーションシステムに特化する ABTech Manufacturing Inc でした。

厳しい位置決め分解能の客先仕様を満たすために、同社は定評ある、レニショーの新しい高分解能光学式リニアエンコーダおよびロータリーエンコーダに解決策を見いだしました。

ニューハンプシャー州イーストスワンジーの会社は、3 つの ABTech リニアエアベアリング、2 つの ABTech ロータリーエアベアリング、レニショー SiGNUM™ シリーズの超高精度リニアエンコーダおよびロータリーエンコーダを搭載した 5 軸光学測定プラットフォームを製作しました。

 

 

ABTech のケン・アボット社長は、

「これは顧客との共同開発プロジェクトでした。 彼らがコンセプトと制御装置とソフトウェアを開発し、ABTech が機械システムである多軸エアベアリングプラットフォームを設計・製造しました」と語ります。

 

測定に際しては、B 軸の高精度ロータリーテーブルにレンズを置き、C 軸のロータリーエアベアリングに水平に取り付けた非接触式の共焦点イメージングプローブで測定を行います。

共焦点イメージングがレンズの形状と面のマイクロトポグラフマッピングを実行します。

 

システムでは、共焦点プローブが各計測点に対して垂直になるようにする必要があります。

ABTech が製作したプラットフォームは、最大 5 軸の座標移動による厳格な再位置決めを行います。

次世代の CNC 光学検査システムには、直線軸 3 本で 5nm の位置分解能が必要です。 ロータリーモーションの分解能は、C 軸で 0.009 角度秒/カウント、B 軸で 0.018 角度秒/カウントです。

完全プログラミング可能な 32 ビットの Windows ベース計測ソフトウェアが非接触式プローブを駆動して、マイクロトポグラフデータを自動的に収集します。

 

「システム全体の空間精度のマッピングと補正は顧客の担当であるため、位置繰返し精度と熱安定性がこのアプリケーションで私たちに課せられた最も重要な任務でした」とアボット氏は言います。 個々の軸の位置決め精度で ABTech に求められた条件は次のとおりです。

 

• リニア — 200mmの稼動長で ±1µm

• ロータリー — 360度の移動で全誤差 ±1 角度秒

 

この精度を達成するために、アボット氏はレニショーのティム・ゴギンに声をかけました。

 

「レニショーとはおよそ 10 年にわたって取引関係にあり、最初から大抵はレニショーのエンコーダを使ってきました」

と彼は言います。

ゴギンは、高度な SiGNUM™ ロータリーおよびリニアシステムである高性能デュアルリードヘッド DSi ロータリーエンコーダシステムと RELM 高精度リニアエンコーダシステムを推奨しました。 これらの SiGNUM™ エンコーダは、±1µm 以内の精度、±30nm の周期誤差、最小 5nm/0.005 角度秒の分解能を提供します。

ダイナミック信号制御により 20µm スケールポジションエンコーダは、ガラスを使用したエンコーダが持つ脆弱さへの注意と極端に汚れの無い環境をもと求められることなく「ファインピッチ」性能を提供し、製造環境におけるすばらしい信頼性、衝撃・振動・温度(最高 85°C)に対する高い耐性を実現することができます。

 

ABTech にとって特に重要なのは、RELM リニアエンコーダシステムは安定化 Invar 材質のスケールを搭載していることです。 このニッケルと鉄の合金は稀に見る低熱膨張率(≈0.6µm/m/°C, 0°C~30°C)を提供します。

 

「この計測システムで、私たちが最も関心を注いだのは熱安定性です。 熱膨張を最小限に抑えるために、ほとんどの機械はステンレススチール、花崗岩、セラミックで製造されています。 Invar 材質のスケールはこのアプリケーションに完全に適合しました」とアボット氏は語ります。

 

精度、価格、使いやすさ、サイズは、ABTech が位置決め用エンコーダを選択する際の重要な要素でした。

 

「エンコーダは小さいものである必要があります」とアボット氏は強調します。

20µm の Invar スケールは、断面がわずか 1.5mm×15mmでガラススケールよりも狭く、取り扱いと取り付けが簡単で破損の心配がなく、こうした要求を満たしていました。

 

スケールにはレニショーの IN-TRAC™ オプティカルリファレンスマークが組み込まれていて、システム全体の幅や高さを増やさなくても、温度と速度の全範囲で両方向へ繰返し機能するリファレンス点を提供しています。 デュアルオプティカルリミットを使用すれば、測定軸両末端の位置を検出することができます。

 

角度位置決め精度で ABTech は、最高の精度を実現するレニショーの SiGNUM™ ロータリーエンコーダである REXM ロータリーエンコーダシステムと DSi(デュアル SiGNUM™ インターフェース)を採用しました。

±1 角度秒以下の取付精度を実現できる DSi は、誤差を補正する 2 つの SiGNUM™ SR リードヘッドに超高精度の REXM リング/スケールを組み合わせるもので、ベアリングのブレや電源切断の影響を一切受けることがない客先設定可能な propoZ™ リファレンス位置を提供します。

 

「180度反対に位置する 2 つのリードヘッドは偏心などのハーモニックエラーを排除し、ベアリングのブレの影響を補正します。 DSi は 2 つの SiGNUM™ リードヘッドのインクリメンタル信号を組み合わせ、レニショー特許のリファレンスマーク処理方式を使用することで、コントローラには 1 つの高精度なエンコーダとして認識されます」とゴギンは説明します。

 

精度を実現するその他の要因として、REXM リングは、偏心を除く(偏心は DSi が補正)あらゆる取付誤差を低減するために断面を厚くしています。

インターフェースによって偏心誤差が排除されたあと、残っている重要な誤差は、まさにハーモニックエラーである取り付け時のわずかな歪みと、目盛誤差および周期誤差(サブディビジョナルエラー:SDE)で、あとの 2 つの誤差はそれぞれ ±0.5 角度秒と ±0.03 角度秒という非常に小さなものです。

 

「REXM リングに DSi を使用すると、±1 角度秒以下の取付精度を実現することができます。 実際、リングのサイズによっては、DSi/REXM ロータリーエンコーダは ±0.25 角度秒以下の取付精度を達成しています」と彼は言います。

 

一体型の REXM ステンレススチールリングは直径 52~417mmのものがあり、目盛はリング周囲に直接刻まれています。 一体型リング/スケールはローターに直接固定できるため、密閉式のエンコーダに見られる反転偏差、結合部での信号損失、振動、シャフトの捩れ、その他のヒステリシス誤差を排除します。

ユーザーは目的の角度まで軸を回してボタンを押すだけで、propoZ™ 原点を設定することができます。

このように、propoZTM 技術により、例えば工作機械上で T スロットに対するリファレンスポジションの調整を、はるかに短時間で簡単かつ正確に行うことができるようになります。

選択した角度は DSi のメモリに記憶され、パワフルなアルゴリズムによって位置誤差が自動補正されて、DSi の電源が切れている間に軸回転の中心が動いたとしても、角度方向の繰返し精度が保証されます。

 

リニアエンコーダおよびロータリーエンコーダは、IP64 準拠の防水性能を備えたリードヘッド、高い信頼性を提供するダイナミック信号処理、非常に低い周期誤差(±30nm 未満)など、SiGNUM™ エンコーダの設計特徴を備えています。

レニショー特許のユニークな設計の光学系がスケールをスキャンし、多くのその周期値を平均して、埃、汚れ、その他の汚染などの非周期性の特徴を効果的に除去します。 非接触式のリードヘッドはスケールの上に搭載されるため、摩擦や摩耗、ヒステリシスを排除します。

 

レニショーのコンパクトなリードヘッド設計は、ABTech のサイズ面での厳しい条件を満たしました。

5 軸プラットフォームは幅 1346mm、奥行 711mm、高さ1676mm の大きさとはいえ、個々の軸には、モーター、エンコーダ、エアベアリング各面といった多彩な機能が搭載されているとした上で、

「レニショーの小型パッケージを使えばエアベアリングパッドのサイズを最大にすることができ、これは高い剛性と精度の実現に欠かせないものです」とアボット氏は強調します。

 

リニアエンコーダおよびロータリーエンコーダは高さ 15mm×長さ 36mm×幅 1.65mmという同様の小型リードヘッドを搭載し、RELM スケールは幅がわずか 15mm、REXM スケールはわずか 10mmです。

 

PC 用のパワフルな SiGNUM™ ソフトウェアは包括的なキャリブレーションとセットアップ最適化のほか、リアルタイム診断などの機能を備えています。

SiGNUM™ Si インターフェースは USB コネクタで PC に接続します。

SiGNUM™ Si インターフェースの解析はいつでもユーザーが利用でき、分解能、クロック周波数、エラー出力と警告出力などのシステム構成に関する情報を提供してくれます。

 

ソフトウェアがエンコーダの取り付けを簡単にするほか、リードヘッドのピッチ角の微調整を可能にする革新的なインジケータを提供してくれ、これは小型リング上でリードヘッドをセットアップする際に特に便利です。 リードヘッドとインターフェースに組み込まれた内蔵 LED がすばやい視覚表示を提供し、セットアップとリアルタイムのシステム診断を最適化するのに役立ちます。

 

新しい光学計測システムは ABTech がこの顧客と共同で手がける最初のプロジェクトで、顧客のカタログに製品として記載されるものと思われ、このニューハンプシャー州の会社との間に望ましい継続的な取引関係が築かれることになります。

 

ABTech は、半導体や光学部品製造向けのカスタムメイドの高精度エアベアリングおよび機械ベアリングシステムのほか、プラットフォームのターンキー式ソリューションの設計と製造に特化しています。 「私たちは、エアベアリング、機械ベアリングの使用と、アプリケーションに適合させた材料の考案および使用における独特の柔軟性を備えた会社だと思います。 私たちは、デザイン、材料、プロセスを手がける際に制約を受けることがありません」とアボット氏は語ります。

 

ABTech のエアベアリング技術は世界中の研究機関、大学、先端製造部門で利用されています。 磁気プリロード式キャリッジと超高精度のスライドを組み合わせた小型設計は、光学部品製造、バイオメディカル、ダイヤモンド旋盤、ウェハースキャニングシステム、リトグラフィー、CTP システム、計測システム、ビジョンシステムの位置決めステージに最適です。

「私たちは、求められる負荷能力、精密位置決め、一定速度、静止状態における摩擦ゼロを実現しつつ、デザイナーにとって重要な省スペース設計を提供できます。 私たちの工程は、適切な材料、部品クリーニング、排気管装置を備えた無塵室環境用にデザインされています」と同氏は述べます。

 

チップと回路がますます小型化するにつれてカスタム化と小型化に対する要求が高まっているとした上で、 「部品とその製造プロセスの両方が縮小し続けていて、より一層優れた位置決め精度が求められていました。 だからこそ、私たちはレニショーと取引関係にあることをありがたく思っています。彼らは製品開発に遅れをとらず、私たちが必要とするエンコーダ性能を再びすばやく用意してくれました」とアボット氏は言います。

 

アボット氏はまた、

「世界最高の製品もそれを支える重要なテクニカルサポートがなければ無益です。 私たちがどちらかと言えば小規模の専門的な会社であるとはいえ、レニショーはすばらしいサポートを提供してくれています」と力説します。